高性能オシロスコープに対する完全自動の真の帯域幅テスト

技術進歩が続く中、現在では 数 GHz の帯域幅を持つオシロスコープがほぼ標準になっています。しかしながら、帯域幅テストの従来の方法は複雑であり、誤差が生じることがあります。特に立ち上がり時間の測定値から帯域幅を計算する場合がそうです。ここで、Fluke Calibration 9500C オシロスコープ校正器の出番となります。

Fluke Calibration 9500C オシロスコープ校正器

このデバイスは、最大 4 GHz までの範囲の真の帯域幅テストを可能にするばかりでなく、最大 125 ps の立ち上がり/立ち下がり時間とともに、振幅 5 mVp-p ~ 3 Vp-p の高速 return-to-ground エッジで正確なパルス応答テストを行うこともできます。

帯域幅とは ?

オシロスコープの世界では、帯域幅とは垂直チャネルの帯域幅のことであり、通常の定義では、応答が低周波数値から 3 dB、または電圧の振幅が 70.7 % 低下する周波数を意味します。オシロスコープでは、帯域幅はデジタルマルチメーターでの分解能同様、しばしば一般的なパフォーマンスの差別化に使用されます。5.5 桁のマルチメーターと 4.5 桁のマルチメーターを比較するのは、400 MHz のスコープと 1 GHz のスコープを比較することに似ています。

帯域幅の測定方法

自明の帯域幅測定方法は、正弦波信号を使用して、低基準周波数を基準にして表示される信号振幅が 3dB(70.7 %)低下する周波数を特定する方法です。

正弦波振幅の 3 dB 低下を表示している一般的なオシロスコープ画面

正弦波振幅の 3 dB 低下を表示している一般的なオシロスコープ画面

立ち上がり時間テストから帯域幅を計算しない理由

しかしながら、オシロスコープの校正プロセスで専用のソースを使わない場合は、出力に対する外部の影響を考慮する必要があります。オシロスコープの校正で専用のソースがない場合は、調整した信号ジェネレータと電力メーターがよく使用されていました。その場合、校正した RF 出力からピークツーピーク値を求める際にジェネレータの精度や不一致、高調波コンテンツの影響で誤差が生じる可能性があります。加えて、周波数応答の形状、3 dB ポイントでのロールオフへの影響、帯域幅決定の精度など、複雑さが増す可能性もあります。その結果、より高い帯域幅範囲に必要とされる周波数と確度に応じた信号を取得することが難しくなり、立ち上がり時間テストから帯域幅を計算することになります。

帯域幅は立ち上がり時間 (tr) に関連付けることができます。測定した立ち上がり時間から等価帯域幅を計算することを「インピュートする」と言います。帯域幅(BW)は、以下の式でインピュート(計算)することができます。

BW = k/tr

  • k = 0.35 - 1 GHz 未満のスコープの場合、
  • k = 0.4 ~ 0.45 - 1 GHz 以上のスコープの場合

これは、スコープの応答が理論上のガウスフィルタの応答に従う場合にのみ有効です。

残念なことに、ほとんどのスコープはガウス応答に従っていないため、インピュートされた帯域幅にはしばしば誤差が発生します。簡単な立ち上がり時間テストでは、スコープの周波数応答の形状に関する情報は提供されません。適切な正弦波のソースがない場合は、この方法が代替方法として一般的でした。現在でも、6 GHz を超える非常に高い帯域幅のオシロスコープに利用されています。

テストに高速エッジを利用する

高整合性の高速エッジを使用して、オシロスコープのパルス応答をテストすることができます。垂直チャネルの立ち上がり時間を測定し、表示されたエッジにアベレーション、すなわちアンダーシュートやオーバーシュートがないか確認します。

観察する立ち上がり時間は、テストに使用されるエッジの速度によって異なり、使用するエッジの実際の立ち上がり時間は既知であり、補正する必要があります。そうした補正を怠ると、測定値に大きな誤差が生じる可能性があります。

Fluke Calibration 9500C オシロスコープ校正器による帯域幅テスト

Fluke Calibration 9500C オシロスコープ校正器は、最大 4 GHz までの非常に正確に調整された正弦波を供給し、ピークツーピーク電圧が直接校正されます。

Fluke Calibration 9500C オシロスコープ校正器

より高い帯域幅と信号の純度が必要とされるこのような状況では、Active Head Technology™ を採用した 9500C を使用することで、効果・効率・生産性を高め、Multi-Product Calibrator の性能を 2 倍にすることができます。

Active Head Technology™ を採用した Fluke Calibration 9500C 校正器は最大 4 GHz までの正確に調整された正弦波を供給し、そのレベルまでの範囲の真の帯域幅テストを可能にします。

専門家と話す