96040A 低位相雑音基準信号発生器
主な機能
- 現在の多くの機器やアクセサリーを単一のものに置き換え、RF 校正システムを簡素化。
- 校正手順をスピードアップし、オペレータのエラーを減らし、RF 計測を合理化。
- あらゆる周波数レンジのスペクトラム・アナライザの校正に必要なほとんどのテスト・ポイントをカバー。
- 校正管理ソフトウェアの MET/CAL® Plus で自動化を行うことで効率を改善し、手動による方法に比べて能力を 50 % 以上改善。
製品概要: 96040A 低位相雑音基準信号発生器
広範囲、多目的に校正対象機器をカバー
96040Aは、以下のような広範囲なRF校正対象機器を校正します:
• スペクトラム・アナライザ
• 変調計およびアナライザ
• RF電力計およびセンサ
• 周波数カウンタ
• アッテネータ
• その他
考慮すべき不確かさの要因やエラー源が少ないため、これらの製品の校正に関連した計測が簡単になります。
一般のRF校正器以上の実力
研究開発、製造試験およびATEでのアプリケーションでは、多くの場合、通常の汎用信号発生より高度な性能を必要とします。広い周波数カバー範囲、周波数分解能、低い高調波、位相雑音やスプリアス成分、信号レベルおよび減衰確度またはダイナミック・レンジが重要なパラメータであれば、96040Aは理想的なソリューションとなります。
RF校正システムの費用を半分に削減
高性能RFスペクトラム・アナライザ校正システムの中核機器として、96040Aは、費用を半分に削減できます。96040Aは、「代表的」なRF校正システムの以下の部分を全て置き換えることができます:
最大4つの信号源(オーディオ/ファンクション・ゼネレータからRF信号およびマイクロ波低位相雑音信号発生器)
- パワー・メーターおよびパワー・センサ
- ステップ・アッテネータ
- フィルタ
- パッド
- カプラ
- 50 MHz 周波数カウンタ
96040Aは、RFシステム・コンポーネントの購入、設置および設定にかかる初期導入費用を減らすだけでなく、その装置すべての保守や校正にかかるコストも削減します。また96040Aは、装置やアクセサリー類から構成される重いラックより持ち運びが簡単なので、現場での校正に最適のソリューションとなります。
96040Aは、最高4GHzの周波数レンジを持ち、高性能、高周波数のスペクトラム・アナライザに必要な全試験の80%超を実行します。
4GHzを超える周波数を必要とする校正対象機器については、残りの周波数試験ポイントに対応するために既に所有されているRFおよびマイクロ波信号発生器と96040Aを併用します。 4GHz未満で動作する多くのスペクトラム・アナライザは、96040Aだけですべての校正を実行できます。これ以上簡単なことはありません。
追加のファンクション・ゼネレータが不要
96040A基準信号発生器の内部変調能力は、より正確な変調率でAM信号を使ったスペクトラム・アナライザの掃引時間試験や変調アナライザ校正など、出力信号に確度の高い変調を適用する必要があるアプリケーションに最適です。低周波用の変調信号発生器としてファンクション・ゼネレータを追加する必要はありません。96040A一台で全てを実現します。
RF校正用の設計
96040Aは、スペクトラム・アナライザ、RFレベルメーターおよびレシーバなどの製品を校正するためのプロセスを簡素化するように設計されています。パラメータ・オフセット、ステッピング、相対およびUUT/DUTエラー計測のモードは、よく使用している校正手順に沿った作業を正確かつ効果的に行えるようにします。試験中の機器の性能と許容範囲の判定をこれまでになく容易にし ます。
96040Aの正面パネルは、専用ファンクションキー、ソフトキーおよび学習や操作を簡単にする明るく見やすいカラーディスプレイを装備しています。出力レベルは、よく知られた倍数および指数の形式を使って、電力(ワットまたはdBm)、電圧(RMSまたはPeak to Peak)で設定できます。入力した値または確度を失うことなく、簡単に電圧、電力およびdBm間を移動できます。表示値を調整するための誤差読み出しモードでは、単純にスピンホイールを回すだけで、UUT誤差がdB、ppmまたはパーセントで直接表示されます。
簡単で校正に適したユーザーインタフェースは、予期しない結果や許容範囲外の状況に遭遇しても、手動または自動の校正手順を進めながら、簡単にトラブルシューティングができるようにしています。
「設定通りの出力が得られます」確度と信号純度
頑丈で精密なレベリング・ヘッドは、96040Aの出力信号レベルを、正面パネルで設定した通りに、UUT入力に直接供給します。このユニークな「設定通りの出力が得られます」機能により、ケーブルや中間接続によってもたらされる損失、雑音、干渉、反射によるエラーなどの問題を回避できます。このアプローチは、低レベル信号の完全性も維持します。ヘッドは、154dBダイナミック・レンジ全体にわたって、-130dBmのきわめて低いレベルに至るまで、信号の確度と雑音耐性を維持します。
レベリングヘッドは「1回の接続で多くの試験」ができるため、一般的な校正中におけるリード線接続の切り替えを25回からたったの5回に減らすことが可能となり、自動校正システムにおいて無人の時間を延長し、コネクタの摩耗を減らします。
システム性能を保証するためシステムとして校正
96040Aには50オームのレベリング・ヘッドが付属しています。/75モデルは、50オームと75オームの両レベリングヘッドが標準で付属します。それぞれのメインフレームおよびレベリング・ヘッドは、完全な1つのシステムとして一緒に校正されます。システム校正により全体的なシステム性能が確保できます。それぞれの96040A機器には、レベルと減衰、レベリングヘッド出力VSWR、位相雑音など、全ての主要パラメータのデータがついた包括的なISO 17025準拠校正証明書が添付され ます。これで、96040Aはトレーサビリティが確立されており、加えてRF測定方法および不確かさ分析がずっと簡単で迅速になるように保証できます。認定校正証明書は、96040Aと、50オームおよび75オームの両ヘッドについて入手可能です。
最高水準の位相雑音性能
高いおよび低いオフセット周波数に最適化された低位相雑音と、1Hzから10MHzオフセットの仕様を使って、96040Aは、今日の高性能校正対象機器で要求される位相雑音性能を超える性能を提供します。
位相雑音データは、96040A校正証明書に含まれています。保守的に保証された仕様書だけに頼るのではなく、ユーザーは自分の製品の実際の性能データを使用することができます。最良の低位相雑音信号発生器を使っていても、スペクトラムアナライザの位相雑音試験中に、大きなオフセット周波数での雑音レベルを下げ試験マージンを改善するために、一般的にフィルタがよく使用されます。9600FLTの1GHz帯域通過フィルタのアクセサリーは、高性能スペクトラム・アナライザのワイドオフセット位相雑音専用に設計されており、ベンチトップかラック搭載アプリケーションのどちらでも、96040Aに簡単に接続されます。
選択可能な周波数基準入出力が機能性を拡張
選択可能な外部周波数基準入力を、96040A背面パネル上の標準機能の1つとして使うことができます。この入力は、高いクロック精度または共通基準周波数の使用が重要なアプリケーションにおいて、周波数出力を、Fluke Calibration 910Rルビジウム基準のような外部参照に同期できるようにします。周波数基準出力は、UUTが、96040A内部基準クロックに周波数を同期できるようにします。この設定は、基準信号発生器とUUTとの間に発生する周波数オフセット誤差を減らすために度々必要となります。
96040Aスイープ機能を使って周波数応答試験を簡易化
RFアプリケーションでは、しばしば周波数スイープを必要とすることが多くあります。96040Aのスイープ機能は、既存の手動スペクトラム・アナライザ周波数応答試験やフィルタ応答測定のアプリケーションを簡素化しています。
MET/CAL®ソフトウェアを使った自動化で“walk-away”(空き時間)効率向上
一般的な自動RF校正プロセスでは、作業者が頻繁に介入して試験セットアップを変更しなければならず、これでは自動化によるメリットを享受できません。“walkaway”(空き時間)自動化なら、MET/CAL® Plus 校正ソフトウェアで作成した手順を使うことで、校正システム能力を最大25パーセント増やすことができます。たとえば、Agilent E4407B 26.5GHzスペクトラムアナライザを校正するためのメーカーの校正手順は、27の多様で複雑な試験セットアップを必要とします。一方で、MET/CAL® Plus 校正管理ソフトウェアと96040Aを一緒に使うと、1回のセットアップで、必要な試験の大部分を実行できます。MET/CAL手順を使って必要となる追加のセットアップは6つだけです。
Fluke Calibrationが96040Aモデル用に作成したMET/CAL手順では、96040Aを、9640Aエミュレーションモードとして使うことができます。最適化された自動手順は、作業者が、稼働中にシステムを離れて他の作業に立ち会うことができるので、時間の節約となります。たとえば、既存9640A用のE4407B MET/CAL手順は、96040Aがエミュレーションモードで稼働時に、合計2時間の校正実施中に90分の“walk-away”(空き時間)時間が可能になります。
他の自動化ソリューションと96040Aとの使用
96040Aは、既存の自動化システムおよびソフトウェアとのインテグレーションが簡単です。「1回の接続で多くの試験」ができる特長をフルに利用するような試験シーケンスを構造化することで、96040Aが提供する時間節約や効率性向上を実現できます。
96040Aは、校正システムにおいてHP3335AおよびHP8662/3Aの性能および機能に匹敵または凌駕するように設計されています。HP3335AおよびHP8662/3AGPIBコマンドエミュレーションを標準として使い、これら普及してはいるが旧式で保守が困難な製品を交換するのは、簡単なプラグ・アンド・プレイの取り替えで済むようになっています。
仕様: 96040A 低位相雑音基準信号発生器
96040A 仕様一覧* | ||
周波数仕様 | レベル 仕様 (50 Ω 出力, 75 Ω用拡張仕様書(英文)を参照) | |
レンジ | 1 mHz から 4 GHz | 125 MHzまで-130 から +24 dBm ,4 GHz で 14 dBm (平準化) |
分解能 | 10 µHz | 0.001 dB |
確度 | ± 0.05 ppm ± 5 µHz | -48 dBmまで: 100 kHzまで± 0.03 dB, 128 MHzまで± 0.05 dB, 4 GHzで± 0.3 dB 10 MHz から 128 MHz: ± 0.05 dB から -48 dBm, ± 0.1 dB から -84 dBm , -130 dBmで± 0.7 dB |
アッテネータ確度 | 49 dBまで± 0.02 dB , 110 dBで± 0.15 dB +10 dBmに対して, 10 Hz から 128 MHz | |
VSWR | ≤ 100 MHz: ≤ 1.05, ≤ 2 GHz: ≤ 1.1, 2 GHz から 4 GHz: ≤ 1.0 + 0.05 xf (GHz) | |
高調波およびサブ高調波 | -1 GHzまで60 dBc 高調波, –78 dBc スプリアス | |
1 GHzでの位相雑音 | –144 dBc/Hz, 代表値, 10 kHz から 100 kHz オフセットで | |
変調 | AM, FM, PM, 4GHzまでの内部および外部。 周波数プルおよび外部レベリング | |
周波数スイープ | 1 mHz から 4 GHz。 リニアおよび対数。 スタートストップまたは中央スパン | |
周波数カウンタ | 内蔵 50 MHz 周波数カウンタ | |
温度 | 動作時: 0 °C から 50 °C, 23 °C ± 5 °C 仕様性能適用; 非動作時: -20 °C から +70 °C. | |
標準インターフェース | IEEE-488.2 (GPIB) | |
GPIB コマンドエミュレーション | 9640A, 9640A-LPN, 9640A-LPNX, HP3335, HP8662A, HP8663A. | |
寸法 (HxWxD) | 146 mm x 442 mm x 551 mm (5.8 in x 17.4 in x 21.7 in) ハンドルを含む。 Y9600ラック取付キットで取り付けられた場合、業界標準 19 インチ (483 mm) ラック取付。 | |
重量 | 18 kg (40 lb) | |
*主な仕様の一覧表です。詳細な仕様については拡張仕様書(英文)を参照してください。 |
モデル: 96040A 低位相雑音基準信号発生器
4 GHz RF 基準信号発生器50 Ω レベリング・ヘッド付き
4 GHz RF 基準信号発生器、50 Ω および 75 Ω レベリング・ヘッド付き